1045人が本棚に入れています
本棚に追加
「あっ」
急いで車から降りたために、車の中に食材を置いてきてしまったいた。
枕だけは持っていたけれど、食材は足元にスーパーの袋に入ったままだ。
「……はあ」
さっきあんなに突き放した彼に、開けてくれと言えるほど俺の神経は図太くない。
仕方ないので一階のコンビニで何か買って帰ろう。
車の中に一晩置いていても腐るような食べ物ではないし大丈夫だ。
はあ、とまた深いため息。
相手や自分の気持ちを否定したり吐露すると、こんなにも気持ちが滅入ってしまうのはどうしてだろうか。しかも傷つけた自分の方が落ち込むなんて勝手すぎる。
そう思うけれど、彼を傷つけなければ自分を守れなかったと思うと自己嫌悪が酷い。
俺は誰も好きにならないのならば、誰にも会わない、密室で仕事をして人との関わりを絶つ方がいいんじゃないのかな。
「どうしたの? 三毛猫ちゃん」
「はあ」
「超落ち込んでるね。どうしたの?」
駐車場から出てコンビニへ向かおうとしていたのに、突然変な男に道を塞がれた。
最初のコメントを投稿しよう!