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ふいに警察から俺を背に隠す。
……俺が被害者だってことを隠そうとしている?
「俺は病院に精華と行くから突然の暴力で怖がってるだろうし、親父は先生のこと見ててやってくれ」
「そうだね。先生も怖かったよね」
「清伍様、大変申し訳ございません。すぐにお車に」
「悪いな」
慌ただしく、人が行きかう。
呆然としたまま座り込んでいた俺を、実朝さんが後ろから起き上がらせてくれた。
「怖かったね。ごめんね。乙竹くんは昔からちょっと素行が悪くて」
「お、……俺、俺が血統書だって、知って、た。知ってたけど、どうして」
「さあ。うちの子にも言及してたから、もしかしたら人外の子を誘拐して高く売るとか? 五城楼家の名前を出して、金持ちに売り込んだか――。これから徹底的に調べ上げるから安心してね。ね?」
優しい実朝さんの言葉に、緊張が涙と共に流れていく。
その過程にはもちろん、自分では怖がらせるからと気を使ってくれた清伍君の優しさがあるんだけれど。
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