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「先生にホットココアをと思ったけどポットが分からないなあ」
「いえ、本当に大丈夫です」
結局、一人でいるのが怖くて、俺は実朝さんたちの家にまたお邪魔してしまっていた。
義仲くんは騒動なんて何も知らない様子で、ぐっすりベッドに眠っている。
「えっと、ワインしかないんだけど、飲みます?」
実朝さんがおずおずとワイングラスを渡してくるので、飲まないけれど一応受け取った。
けれど、俺の考えは既に決まっていた。
「……俺、今日のことを正直おじさんたちに伝えて、家に戻ります」
「風月先生……」
「それで、もし幼稚園に迷惑をかけてしまう場合は、家で幼稚園の雑務とかの事務の仕事をさせてもらうようにします」
「でも先生は、子どもが好きでしょう? 乙竹くんみたいに怖い人なんて世の中にそうそういませんよ」
励ましてくれようとしてくれている実朝さんに首を振る。
「実朝さんたちにご迷惑をかけてしまう。決めました。清伍くんが帰ってきたらお礼とお詫びを伝えて、家に帰ります」
「先生……」
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