プロローグ

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プロローグ

俺の本能が、彼から逃げろと言っていた。 実朝さんとは正反対。 強烈な悪意で睨んでくる彼が、俺は怖かったし好きではなかった。 けれど、抱きしめられる。触れてくる。 「嫌いなわけじゃねえよ。分かんねえのかよ」 押し付けられたのは胸の鼓動じゃなくてなぜか下半身で――? 「滅茶苦茶、好きなんだけど」 熱い刺激に目を見開く。信じられない。 「――好きなんだけど、聞こえてる?」 もう一度そう言われて、俺は横に何度も首を振る。 人間は好きにならない。俺を捨てたのも人間。 俺が猫だと知ったら、きっとまた捨てられるから。 「一生、その言葉だけ聞こえない」 「じゃあ、耳元で言ってやる」 逃げるから、追わないで。 二度と俺のことを好きだと言わないで。 情熱的な目が、俺には強烈な悪意にしか感じられない。 image=507484376.jpg
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