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「高校生には見えませんね」
ペーパーフィルターに挽いた豆をセットしじっくりと蒸らしている間、彼の横顔を見ながら取り留めのない会話にでもなればと口を開いた。外見もさることながら、常日頃からどっしりと構えたその姿勢はまるで十代とは思えない。彼は私に一瞥もくれないまま、まるで無関心に「ああ」と呟いた。
「十代じゃないから」
彼はテレビから視線を外さない。番組と番組の間に挟まれたおよそ五分間のニュースを、真剣に見ているようだった。
「そうなんですか………何か、家庭の事情でも?」
訊ねてみても彼は聞こえない振りをしているのか、それとも無視を決め込んでしまったのか、一向に答えは返ってこなかった。会話は途切れ、後はどちらも口を閉ざしてしまいそこで会話は終了した。手持ち無沙汰になり、砂時計のようにさらさらと落ちていくコーヒーの黒い液体を眺める。
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