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その間に脱衣所の衣類乾燥機に呼ばれ、私は暖かく大きな彼の服を取り出して自らのものをするよりもずっと丁寧に折り目をつけた。それを持って部屋へ戻ると、芳しい香りが鼻腔を優しくくすぐり、そわそわと落ち着かなかった気持ちが静かに凪いで、日々のストレスからも少しず解放されていくような気がした。温めていたカップに慎重にコーヒーを注ぎ、いまだテレビから視線を外さない彼の前に差し出すと、彼はそれを無言で受け取った。
口の端、鼻の横、目元、眉、耳、彼を武装するピアスを無意識に目で数える。ほとんどがシンプルなものばかり。こちらに向いている左耳だけで六つ、その重さで耳が千切れてしまわないかと身震いした。彼は素知らぬふりを続ける。
テレビは五分間のニュース番組からCMに切り替わる。そこに気を取られたほんの一瞬だった。彼の腕が私に向かって伸びて、それに気付いたときには既に強引に腕を取られて身体は傾き、ソファに座る彼に向かって前屈みに倒れ込んだ。体勢を整える隙を一切与えず、腰を引かれたかと思うとそのままあっという間に押し倒された。
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