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彼の肩に触れ、求めている快楽には繋がりそうもない極弱い刺激に耐えていると、恐らく笑ったであろう彼の吐息が脇腹を擽った。
「なんでって、あんたがそういう目をしてるから」
固い指先が肌の上を滑り、舌が触れ、甘噛みされて、彼の唇が上半身のみを何度もしつこく行き来して、私の吐息も次第に熱を帯びていった。彼の言葉に疑問を持つも、それを声にすることができなかった。したこところで、すべてはふたりの熱に輪郭をなくしてしまうだろう。舌のピアスが胸の突起を擦り、淫らに腰が震えた。
「触って欲しい、抱いて欲しいって目が言ってる。ずっと前から」
ずっと前、それはいつのことだろうか。私には分からない。渇いた喉が潤いを求めるのと同じように、それは本能的に、私の身体が彼を求めているとでも言うのだろうか。そんなもの、私には、分からない。
胸の上で揺れる金髪に触れる。蛇のような艶めかしい瞳が私を射抜き、そして精神を躰ごと支配されていく。それだけで眩暈がして腹の奥がどうしようもなく熱くなった。このまま彼に抱かれてしまいたい。確かにそう感じた。それは紛れもない事実だった。熱い舌と固い指先、触れているのはそのふたつしかないのに、彼から与えられる快楽をまるで昔から知っているかのように、はしたなくも躰は期待に溢れていた。
「ああっ!」
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