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平たい胸の頂きを甘噛みされ、情欲に濡れた声が漏れる。彼の頭を掻き抱き、ゆるりと襲い来るであろう甘い刺激を予感して全身が打ち震えた。このまま犯されてしまいたい。吐息と共に思わずそんなことまで漏らしてしまいそうになるのを、ぐっと堪えた。
「久留須くん………」
努めて長く息を吐き、彼の屈強な肩を必死に押し返すと、卑猥な音をたて私を愛撫していた彼が予想外にも(それは寂しさを感じてしまうほどに)あっさりと離れたことに拍子抜けしつつ安堵した。彼は私に馬乗りになったまま、こちらの様子をじっくりと観察するように見つめている。それを真正面から受け止め、しっかりと視線を重ねた。
「もしかすると、確証はないけれど本当にもしかしたら、確かにあなたの言うとおりなのかも知れない。それを否定するつもりはありません。だけど、それだけの理由であなたは私を抱けるの?」
彼は薄く眉を顰める。
「私はたったそれだけの理由で、あなたに抱かれるなんてまっぴらです」
私は、私の持ち得るだけの言葉を彼に贈った。観念した。それが正しく彼に伝わっているかは分からない。しかし彼は賢かった。乾きかけの金髪をかき上げると口の端を上手に持ち上げ、目を細めてまるで意地悪く微笑んだ。彼は私の言葉の意味を恐らく正確に汲み取って、色のない唇をゆっくりと動かした。
「それだけじゃない理由が必要なら、あんたにあげることもできる」
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