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距離をつめ、頬を撫でると彼女の肩がピクンッと上がった。
「いちか」
「あ、あの、皐月?」
動揺して、くっついた身体を押し返してくる小さな手なんか構わずに、首の後ろに手を回し引き寄せる。
「……ん」
そっと重ねた唇の隙間からいちかの切ない吐息が漏れた。
その声が堪らなく可愛くて、ちょっとエッチで。普段の彼女とは明らかに違う。
もっともっと、と角度を変え、何度も優しく押し付けた。
「さ、皐月……、ひゃっ!」
「……いちか」
「や、……あっ」
抱きしめていた手を滑らせ、セーラー服の裾から中に侵入する。
触れた背中はすべすべで恥ずかしさからなのか熱いくらいだった。
そのままベッドの上に押し倒し、真っ赤な顔したいちかの唇を再び塞ぐ。
今度はちょっと強引に、隙間から押し入った。
「……つき」
「ん」
「……皐月」
「ちょっと黙って」
しゃべれないくらい絡ませ、なぞる。
掌は柔らかいお腹から上へゆっくり、ゆっくりと……。
『――皐月っ!』
目の前のいちかからではなく天から降ってきたような声に閉じていた目を開けた。
すると見えたのは艶やかな愛しい彼女の顔ではなく、見慣れた自分の部屋の天井だった。
(……また、夢か)
何度目だろう落胆に皐月は本気で肩を落とす。
どうせなら最後まで見たかった、なんて邪な考えが過ぎったときだ。
「あ、やっと起きた」
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