二度目の初恋

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 それでもやっぱり足は公園へ向いた。  今思えば、小さい頃から習い事三昧だった樹にとって、いちか達と遊ぶあの時間はバランスをとる為の大切な拠り所だったのだ。 「それで行ったら拍子抜け?」 「そうそう。なぁんにも。告白したのも皐月が実は男だったっていうのもみんな夢だったんじゃないかって思うくらい普通。皐月は誰にも。花咲さんにすら黙っていてくれてたんだ。態度も変わらなかった」 「……優しいね」 「そう! 皐月は優しくていい奴なんだよ!」  昔の皐月は今と本当に同一人物か疑いたくなるほど弱っちくて、泣き虫で、可愛くて。  けれど本当は凄く強い奴なんじゃないかって思った。  好きだから苛めてたって、高校生になって振り返れば可愛いものだとも思えるかもしれないが、当時は絶対わからない。苛められていた皐月は間違いなく『苛められていた』んだ。  それなのに次の日には皐月はいつも笑顔だった。告白後も勿論変わらず。 「皐月の優しさは強さなんだって気付いたとき、可愛い女の子だと思ってた皐月が一気に自分と同じ男なんだって実感して、すっごい格好いいって思ってさ~」 「で、今みたいにメロメロに?」 「あ、わかる? メロメロもメロメロ」  冗談を挟みつつ、樹はゆったりゆったり語る。  若葉は先を急かすことなく、甘ったるいお菓子をぽいぽい口の中に放り込みながら聞いてくれていた。
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