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「若葉、何の漫画がそんなに待ち遠しかったんだろうね」
物凄い勢いで廊下に飛び出していった若葉を浮かべ、いちかはご飯を口に運ぶ。
「なんかこの頃古本屋でも出回らなくなってきたものって言ってたから、結構古い漫画なんじゃないの?」
「うーん。なんだろ?」
うちの学校の図書室はなかなか充実していて、下手な民間の図書館より品揃えがいい。漫画本も置かれているのだが、それに関してはほとんどが誰かからの寄付なのだそうだ。
そして今日。親切な近隣の方が昼休みの今、読まなくなった漫画本を持ってきてくれるという。
図書委員だった若葉はいち早くその情報を入手し、誰かに借りられる前に手に入れるんだと息巻いていた。
因みに樹はというと、英語の教科担任に呼び出されたらしい。昨日ちゃんと課題提出したのに……、と首を傾げながらお昼を持ってトボトボと歩いて行った。何かしたのだろうか。
「ねぇ、皐月」
「ん~?」
いいと断ったのに半ば無理やり敷かれたお尻の下の学ランに気を遣いながら、いちかはパタパタと数回つま先を揺らす。
隣で飽きもせず美味い! と呟く皐月にそろそろと気になったことを聞いてみることにした。
「……みんなとお弁当食べるの、嫌?」
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