BLのためご注意

16/29
前へ
/29ページ
次へ
次の日は、朝からプールへ行った。会員制で子供が入れないせいか、広々としている。ビジター料金を払ってプールサイドへ行くと、北澤は既に泳いでいた。小さい頃水泳を習っていただけあって、クロールのフォームが格好良い。水しぶきがほとんど上がらず、静かに滑るように泳いでいく。なのにとても速いのだ。 僕は隣のレーンに入り、彼の泳ぎをしばらく見てから、壁をけった。七十五メートル泳いで一旦休む。息が切れる。彼のように滑るようにも、長距離も泳げない。 「年とったなあ」  体は、確実に。  心も、確実に。  午後は、半分だるい体を引きずって図書館へ行った。北澤は返却カウンターへ本を返した後、そのままどこかへ行ってしまった。僕は雑誌や新刊図書をぶらぶら見た後、「旅行」の棚へ行った。  そこに彼もいた。‘ニュージーランド’と書かれた本を数冊手にしている。 「ニュージーランドへ行くのか? 」 と聞くと、 「ああ」 と答える。  旅行が好きだもんな。  その日はそのまま、水泳の疲れが取れるまで写真集を見たり、旅行のガイドブックを読んだりして、ゆったりと過ごした。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加