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予想通り映画は、恐ろしくつまらなかった。アメリカ製の典型的娯楽映画で、美男美女が恋に落ち、悪い奴が現れ、車がビルに突っ込んだり爆発したり、特撮が無駄にすごかったりした。
映画館を出ると正午になっていた。むっとした、夏らしい熱い空気と日差しに目を細める。
「面白かったな」
北澤が満足そうに笑う。単純な物が好きなのだ。
「まあ・・・、ラストは良かったかな」
ハッピーエンドは好きだ。どれほど単純でも。
「何? いまいちだった? 」
「あれなら絶対あっちのがいいよ。ほら、前に言ってたやつ。北澤も絶対気に入るって」
「やだよ。お前のって小難しいから」
北澤が笑う。僕も笑う。
ああ、やっぱりそうだ。
僕はこの、単純さを愛したのだ。
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