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翌朝、家を出た。母親の小言を背中で聞きながら。朝御飯を食べずに出たのは昨晩の仕返しだ。子供だ、と思う。しかしそれ以外に反抗する術を僕は知らない。
いい加減家を出ないとな、とつぶやく。
北澤のいるアパートは僕の家から電車で十分程の所にある。
土曜日。車内は空いている。広々とした四人掛けの椅子を独り占めして外の景色を眺める。いつもの出勤方向とは反対へ向かって電車が滑り出す。日常から非日常へと。
ふと。
まただ。
一瞬それがよぎる。
日常を置いてゆく不安と、新たな興奮が。
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