4 夢は万里を走る

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「お手洗いないかしら」  のぞみが言った。 「あ、あそこに看板があるよ」  急勾配の坂の途中に、脇へそれる階段があって、その分岐点に立て札が立ってあり、それらしき絵柄が描かれてある。  私たちは階段を下りてゆき、また長々と続く細い道を通って、売店のようなところに着いた。  のぞみが用事を済ますあいだ、私は外をぶらついていたのだが、つと店の裏側において、妙なものを見つけてしまった。 のぞみの考えが、現実のものになったのかと思った。  山の斜面を一気に下るようにして、ジェットコースターのようなレールが敷かれてある。  見たところまだ真新しいが、どうやら貨車は走っていないようだった。おおかた勢いに任せて、作ったまでは良かったが、使用には至らなかったのだろう。  そう結論を下した瞬間、私はある考えを思いついた。
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