家族

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「……げっほ、あった、これだな、ごほ」 埃と蜘蛛の巣の魔境と化した押し入れの最奥部に、それは転がっていた。 黄色く変色したシーツで雑に簀巻きにされていて、見るも無惨な姿だ。 「こりゃ動かねえよな」 俺は、シーツからそれを解放してやった。 八ミリ映写機。 半世紀前には憧れの家電だったかもしれないが、今は化石のようなものだ。 新しい物好きの親父が購入した物の中でも、一番飽きるのが早かった不憫な家電だ。 それだけに、思いの外状態はよかった。 俺ができる修理は『叩く』一択なので、後輩の小林に見せてみた。 「よくこんなの残ってましたね」 小林は妙に嬉しそうだ。 「本当にな。何とかできそうか?」 「ランプとベルトの交換でいけそうですよ」 丁寧に掃除して、俺にはちんぷんかんぷんな部品を手早く取り替えていく。 町の昔ながらの電気屋である小林は、修理には定評があった。 「一番よかったのはね、先輩がヘタに弄らなかったことですよ」 俺は小林の脳天にチョップをかました。
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