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「些細なことだよ。上司と一悶着あって、投げ出したくなった」
「ふーん。私は、親と一悶着」
「互いに衝動に駆られたわけだ」
「いつも死にたいって考えてんの?」
「ああ、いつも。早く死にたい、虚しい。そういうのが自分の中でずっと漂い続けてる。いい加減押し潰されそうだと思って」
空を仰いだままだった彼女の顔がこちらに向けられる。
横目で見ると、先程と同じような不器用な笑顔を作っていた。
「おんなじ」小さく掻き消されそうな声だったけれど、彼女は確かにそう言った。
「アンタ、名前は?」
「.....工藤忍」
「シノブ? 女みたい。私は永麻」
「僕はフルネームで言ったのに」
「.....坂上永麻」
舌打ちしながらご丁寧にフルネームを答えた彼女は口は悪いけれど真面目な性格なのかもしれない。
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