1 それが彼女との出会いだった

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坂上永麻の質問は続く。 「年は?」 「27歳」 「おっさんじゃん.....私は16歳ね」 「君たちから見たら27はもうおっさんなのか」 小さくなった煙草を地面に押し付けながら肩を竦めた。 おっさん呼ばわりと彼女の年齢に地味に衝撃を受けている。 僕は携帯灰皿に煙草をしまい、二本目に手を伸ばす。 「坂上さんは、」 「名前で呼んで。苗字は嫌い」 「エマさんは、よくここに来るの?」 「さん付けもキモいから要らない。時々ね、夜になると星が綺麗だし、橋の下が底なしの穴みたいで、なんていうか、落ち着く」 「ああ、分かる。死ぬならここだって」 「うん、絶対ここだって。シノブさんもよく来るの?」 「極稀に。まだ帰りたい気分じゃないときとか、眠れないときとかに」 僕にはきちんとさん付けをしているところがやはり真面目な性格を匂わせる。
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