1 それが彼女との出会いだった

14/15
前へ
/50ページ
次へ
仕事以外で、こんなに誰かと会話を交わしているのは何時ぶりだろうか。 坂上永麻、彼女とは何故か話しやすい。 ああ、考えていることが似ているからなのかな。 僕は交わしてきたいくつかの会話を思い返す。 似た者同士ってのはこんなにも居心地が良いものなのか。 「私たち、死にたがり同盟だ」 「同盟?」 「いつも死にたがってる、同志」 「嫌な同志だね」 「ねぇ、週明けもここに来る?」 週明け。 そうか、今日は金曜日で明日は土日。 自殺を実行することしか頭になかったが、計画は失敗した。 僕はまだ生き続けなければならないのだ。 「ああ、月曜日、来るよ」 「じゃあ、また話そう。私、シノブさんと話をしてると何か新鮮な気持ちになる。もっと色んな話をしてみたい。私の自殺阻止したんだから、それくらい言う事聞いてもらってもいいでしょ?」 僕は苦笑いしつつ、「勿論だよ」と返す。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加