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3 今の僕が、望むこと
あれから暫く残業続きで、終電で帰宅してはそのまま布団に倒れ込む生活を続けていた。
会社から近い場所に住んでいると率先して残らねばならない空気感になるのは勘弁して欲しい。
まぁ、成績が芳しくない自分が他人よりも早く帰れるとは思ってはいないのだけれど。
エマは相変わらずあの場所で星を眺めているのかな。
いや、今まで鉢合わせたことはなかったのだから彼女も時折しか訪れていないだろう。
約束だって、していない。
身体は充分に疲弊しているというのに、やはり早くに目は覚める。
朝食代わりに煙草を手に取り、煙を深く吸い込む。
そういえば昨日は夕食も摂っていないなと思い出すが冷蔵庫は空だった筈だ。
服から除く自分の手首がどんどんと痩せ細っていくのを見て、不思議と安心する。
このまま飢えて死んでしまえばいい。
ふと過ぎった考えに苦笑しかできなかった。
馬鹿馬鹿しい。
だったら今すぐ命を絶ってしまえ。
何の目的もなく、ただ何となく生きている虚しい人生なんて、さっさと終わらせてしまえ。
視線を下げると、暗闇に浮かぶ煙草の光が目に入った。
眉間に皺が寄るのを感じる。
きっと僕は、母親がいなくなったあの時に餓死でもしていたら良かったのだ。
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