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僕は自分が何を望んでいるのかが分からない。
本当に死にたいのかも、本当は生きたいのかも。
何を欲していて、どうしたいのかも。
震えが止まらない手でスマートフォンを取り出す。
ロックを解除しようとしたが、真っ黒の画面に写った自分を見て動きを止めた。
目の下にくっきりと刻まれたクマと、痩せこけた頬。
こんな姿で仕事をしていたら、「疲れた顔して出勤してくるな」といつかまた叱責されるのだろう。
大切そうに、僕の腕時計を両手で包んだエマの姿を脳裏に浮かべる。
気付くと歩き出していた。
電車はもうない。
最寄り駅からは三駅分の距離に、あの場所がある。
明日は土曜で、仕事は休みだ。
死にたがり同盟、と。
同志だ、と。
そう呟いたエマのことだけを考えながら、僕は歩き続けた。
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