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僕は咄嗟に弁当を投げ出し、エマの元へ駆け寄ると出来うる限り優しい力で肩を掴む。
顔色は青白く、生気がない。
しかし大きな瞳が不思議そうに僕を見上げて、ことりと頭が傾げられた。
何で此処にいるのかと問いたいとだろうが、それは僕も同じだ。
「弁当落ちてるよ」
「え、ああ、うん。とりあえず座ろうか」
エマは僕に体重を預けたまま、左足を引きずるようにして手摺に寄りかかり腰を下ろした。
こんな時間だというのに彼女はセーラー服を着ていて、庇っていた左足は黒いソックスで隠れていてどうなっているのか確認出来ない。
隣で僕の弁当を勝手に広げている彼女をぼんやりと見つめていた。
「これ夜食? 重いな、焼肉弁当とか」
「いや、夕食」
「夕食ぅ? だって今.....暗くてよく見えないけど、二時くらいになるよ?」
エマはポケットから先日僕が譲った腕時計を取り出すと、目を凝らしながら時刻を確認していた。
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