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ちゃんと持っていてくれた事実に何だかほっとして、一気に脱力してしまう。
急激に腹が減った。
食べなくてもいいやと思って煙草を吸っていたのだけれど、今は何でもいいから食べたい。
コンビニに寄ってきて良かった。
「残業で、帰れたの終電ギリギリだったんだ。夕飯食べてないし、コンビニ寄ったら売れ残りがそれだけで。でも、突然、無性に此処に来たくなったから結局食べ忘れてたんだけど」
「バカだなー。てか、シノブさん痩せた?」
「かもね」
「ただでさえ細いのに、いつか骨だけになっちゃうよ」
「エマも随分と顔色がおかしいけど」
「白いのは元々でーす」
「いや.....青いというか」
「.....ん、お腹空いただけ」
一気に下がったトーンで、はぐらかされたのだと気付く。
同時にそれ以上は踏み込むことを拒否する態度であることを理解する。
僕はエマが開けた弁当を割り箸で均等に分け、朝飯用に買ったパンのビニールを破る。
それらを僕とエマの間に置いて「半分こ」と言うと、彼女は少しだけ嬉しそうに口元を綻ばせた。
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