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二人ですっかり常温になった弁当を順番につつきながら無言で星空を見上げる。
ある程度片付けた頃、先に口を開いたのはエマだった。
「てか歩いてきたの? 終電、ないもんね」
「ああ。気付いたら歩いてた感じ」
「本当にバカだー。普段もそんななの?」
「いや.....終電なければ此処に来ることはなかったけど。何かよく、分からないんだよね」
一拍間を置く。
空になった弁当とパンのビニールをコンビニ袋に詰め、息を吐き出した。
「自分の望みが何なのか。死にたいのに、生きてる。生きるために働いてる。ああ、よく分からないなって考えてたら、此処に来たくなった」
「.....ふーん」
「君は? どうしてこんな時間に?」
「君とかキモいな」と毒づいてからエマは再び星空を仰ぐ。
白く透き通った首筋に黒くて長い髪が風に靡いて絡んでいた。
美しい少女だ、何度も言うが、黙ってさえいれば。
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