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「僕もエマと会ってから、もっと特別になった。人通りはほぼないし、職質してくるお仕事熱心な人たちも皆無だ。日常から遠いこの場所で、エマと二人でいると何だか不思議な気持ちになる」
「何だ何だ~惚れたか、おっさん」
「調子に乗るな、ガキんちょー」
不貞腐れて唇を尖らせたエマを見て、胸の奥のもやもやとした気持ちが晴れていく気がした。
僕は自分が何を望んでいるのか分からない。
いつまでも大人になりきれなくて、中途半端で、矛盾しているのが工藤忍という人間だ。
けれど今日、一つだけ分かったことがある。
ずっと年下の、この死にたがりの同志の隣で他愛もない話を続けたいと願う。
今の僕が、望むこと。
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