4 来るかも分からない幸せには縋れない

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「.....だって気になるじゃん」 「でも、ただの憶測とか妄想でしかないじゃないか。実際死んで来ましたって人間がいる訳じゃないし」 「そりゃそうだけど。でも天国いけない説は調べた限り有力そう」 何をどう調べたのか聞きたいところだけれど、ひとまず置いておこうと思う。 だったらどこに行くのか、と尋ねると当然のように地獄だと即答された。 「本来の寿命が来るまで独りぼっちで、暗闇の中でずーっと死んだことを後悔し続けるんだってさ」 「暗闇か、それキツいね。いや、それ以前に僕は.....死んでも自分が続くことが末恐ろしいな。全部無くなって欲しくて、自分を消したくて、だから死にたいと思うのに」 「自分が続いてくことか.....そうだね、確かに。だけど続いていっても、待ってるのが地獄でも、きっと今よりはマシだって私は考えてるよ」 エマが喋り終わるのと同時に、僕の吐き出した煙草の煙が上空へ昇っていった。 煙が消えてしまうまで二人でぼんやりと眺める。
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