1 それが彼女との出会いだった

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僕の親は、あまり親とはいえない存在だった。 男遊びが激しかったらしい母は、20歳の頃に誰の子かも知れない僕を家族に反対されつつも産み落とした。 当然ながら家族とは縁を切られ、まだ若い彼女はたった一人で僕を育てることになる。 20歳なんてまだ遊び盛りだ、彼女に子育てが出来るはずもなかった。 家にはいつも知らない男がいて、僕は季節など関係なくベランダに追い出される。 暑さで目眩を起こしそうな日も、寒さで震えが止まらない日も。 このまま死んでしまえたらいいのに、と何度となく唱えながら窓が開くのを待った。
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