1 それが彼女との出会いだった

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◇ 「──離して!.....ッッ変態!」 女の子の大声で我に返る。 橋から落ちようとしていた女子高生を抱き寄せて、そのまま尻もちをついた状態で固まっていた。 変態などと叫ばれて焦ったが、人気がない場所なのですぐに誰かが駆けつけることはないだろう。 僕は掴んだままだった彼女の両肩から手を離し、「ごめん」と小さく吐き出した。 女の子は無言のままで俯いている。 腰まで伸びた黒いストレートな髪と、セーラー服から覗く真っ白な肌。 最近の女子高生にしては化粧っけはあまりないようだが、長い睫毛と大きな瞳が目立つ整った顔をしている。 可愛いというよりは綺麗と言われそうなタイプだ。 揃った前髪と青白い顔を見ていると日本人形を連想させる。
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