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初めて男を受け入れたはずのそこは、ヒート状態だったためか、さしたる抵抗もなく……むしろ物欲しげに愛液を滴らせ、嬉々としてαを迎え入れた。
接合部からは途切れることなく淫らな水音が響き、泣きたくなるほど簡単に、自分の…Ωの躰は陥落した。
熱く滾った楔で俺を容赦なく苛みながら、その一方で、甘い囁きが誘惑を紡ぐ。悪魔はきっとこんな声で人間を淫欲の道へと誘うのだろう。
「くびを、咬んで、いいですか?」
「だ…め…! ダメぇ…ッ」
快楽に蕩けた頭でも、それだけは駄目だと拒絶する。
……拒否されたのが気に入らなかったのか、抽挿が激しくなった。
「ひぅ…ッ、ぃあ…あ、あっ…つよ…ぃい…!」
強くて…気持ちイイ。
頭が馬鹿になる。
より深い快楽に堕とされる。
それは、まるで底なし沼のようにずぶずぶと際限がない。
「なら、私の子を、孕んで…ください」
「…んや…やらぁ…」
もはやまともに呂律も回らない口で、理性の欠片にしがみつく。
「…これだけ発情していて、なお抵抗するんですか? 強情ですね、君は…。でも…」
色気のしたたる声音が、俺の耳朶を掠めて耳の奥へ、まだかすかに残っていた理性の残骸を刈り取るための現実を吹き込んできた。
「…もう、遅い。君の、胎は…、ほら…もうすでに、私の子種でいっぱい、ですよ」
腰を支えていた手が腹にまわり、そこを撫でさする。
「ン…う…そ…、出て…? そん…な、あ…」
経験の浅い俺は、出されていたことにすら気づいていなかった。
腹の奥が熱いのも、淫靡な水音も、自分の躰がヒート状態にあるからだと……いや、そんな考えすら及んでいなかった。ただ、社長から与えられる悦楽に、翻弄されるばかりだったのだから。
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