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なのに、彼は怒るどころか、自らの失恋話を暴露し、不器用ながらも泣いている俺を慰めてくれた。
俺は、だから――……
「君の処女がもらえて嬉しいですよ」
根元まで挿し込まれ、ぬぷぬぷと抜きさしされ、そこから生まれるヒリついた灼熱の風によって過去の映像は、またたく間に遠くへ攫われてしまう。
「イ…ッ、アツ…ィイ…ッ!」
「こうやって奥まで貫いて、何度でも…注いであげます」
「ンッンッ、…ンァ…ッ」
「君が孕むまで、何度でも」
とろりと濃密なフェロモンがΩである俺を包み込んで酩酊させた。
αの…社長のフェロモンに、ヒート状態の俺はひとたまりもなかった。
「こっちも…、泣きはらして、ぐちゃぐちゃですよ」
俺の小ぶりな性器の先からは、たらたらと蛇口の壊れた水道のように精液が垂れ流されている。
それを握りこまれて上下に扱かれながら、同時に後ろも攻められた俺の口から欲情しきった嬌声があがった。
「…ア、ア、アアアーッ」
「ふっ…すっかり、とろけた顔になって、かわいい…。こんな君を、他の誰にも、見せたりなど、…させない」
奥を制された俺はΩの本性のままに喘ぎ、「もっと…」と願い、「くれ」と乞い、身をくねらせて善がり狂った。
ギシギシとベッドを軋ませ、幾度も幾度も奥を求め、吐きだし、欲し、欲され、まぐわう。
発情期が終わるまで、ずっと、自分たちはほとんどの時を繋がって過ごした。
しかし、やがて、その狂乱も収束し、静けさとともに理性が舞い戻ってきた。
何事にも終わりは訪れる。
疲れ果ててドロドロのベッドで伸びている俺の汗に濡れた髪を梳きながら、社長は沈痛に呟いた。
「好きなんです。君が好きだ。……どうすれば、この気持ちが届くのだろう。どうすれば君に認めてもらえるのか、私にはわからない」
俺は聞こえないふりをした。
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