4.23時のチョコレート・サンデー

74/78
前へ
/388ページ
次へ
 翌日。  ほとんど眠れずに朝を迎えた私は、朝ごはんを食べたくないと言ってみんなを驚愕させてしまった。  昨日たくさん食べたからかな、と誤魔化して部屋に残ったけれど、目に映るテレビのニュースも全然頭に入ってこない。なんだか急につまらない世界に変わってしまったみたいだ。  頬杖をつきながら何度目かわからない溜め息をつくと、ふいに誰かがドアをノックした。 もしかして陽ちゃんかもしれない──ドキッとしてリモコンでテレビを消すと、次にどうしようかと決めるよりも早く向こうから呼ぶ声がした。 「まどか?」  その声に思わず胸を撫でおろす。躊躇なくドアを開けると、そこには星ちゃんが立っていた。その独特の優美な眼差しと目が合っただけで、私の目から大粒の涙が零れ落ちる。  中へ入ってきた星ちゃんは、子どもみたいに泣く私を見て困ったように微笑み、おいでと静かに抱き寄せた。 「やっと気が付いたかと思ったら……。どうして泣いてるわけ? 陽ちゃんと何かあった?」  優しく問われて心の弱い部分がますます脆くなる。 「いつから私の気持ちを知ってたの?」  そう間近で見上げると、星ちゃんは「さぁ?」と肩をすくめた。 「いつからだったかな……。でも、まどか本人がこうして気付けたんだから良かったじゃないか」  気付けて……良かった? なんで?
/388ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1079人が本棚に入れています
本棚に追加