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翌日。
ほとんど眠れずに朝を迎えた私は、朝ごはんを食べたくないと言ってみんなを驚愕させてしまった。
昨日たくさん食べたからかな、と誤魔化して部屋に残ったけれど、目に映るテレビのニュースも全然頭に入ってこない。なんだか急につまらない世界に変わってしまったみたいだ。
頬杖をつきながら何度目かわからない溜め息をつくと、ふいに誰かがドアをノックした。
もしかして陽ちゃんかもしれない──ドキッとしてリモコンでテレビを消すと、次にどうしようかと決めるよりも早く向こうから呼ぶ声がした。
「まどか?」
その声に思わず胸を撫でおろす。躊躇なくドアを開けると、そこには星ちゃんが立っていた。その独特の優美な眼差しと目が合っただけで、私の目から大粒の涙が零れ落ちる。
中へ入ってきた星ちゃんは、子どもみたいに泣く私を見て困ったように微笑み、おいでと静かに抱き寄せた。
「やっと気が付いたかと思ったら……。どうして泣いてるわけ? 陽ちゃんと何かあった?」
優しく問われて心の弱い部分がますます脆くなる。
「いつから私の気持ちを知ってたの?」
そう間近で見上げると、星ちゃんは「さぁ?」と肩をすくめた。
「いつからだったかな……。でも、まどか本人がこうして気付けたんだから良かったじゃないか」
気付けて……良かった? なんで?
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