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「全然良くない! こんなことになるのなら、むしろ気付かないほうが良かったよ……!」
昨夜からの絶望感はまだ十分な威力を持っていて、腹立たしさと悲しさの渦に飲み込まれそうになる。その怖さにギュッと目をつぶると、星ちゃんが私の肩を掴み、何かを確かめるように目を覗き込まれた。
「本当に? そんなに悲しくなるほど誰かを好きになれるって、すごいことだと思うけど? その気持ちまで否定しちゃ駄目だよ」
星ちゃんの言うことはもっともだと思う。けれど今は胸の奥がザワザワして、どうしたらいいかわからなくて、素直に受け入れることができない。
否定も肯定もできずに「うう~」と嗚咽を漏らすと、星ちゃんは私を上がり框に座らせ、自分もその隣に腰を下ろした。
「今のまどか、すごく混乱してるよな? 上手く伝えようとしなくていいから、何を抱えているか話してみろよ。きっと少しは楽になる」
震える背中を繊細な手が優しく撫ぜてくれる。星ちゃんがそう言ってくれただけで、真っ暗闇に一筋の光が差し込んだみたい。すごく救われた気持ちになる。
頷いた私は、涙を拭いてからこれまでのことを打ち明けた。
陽ちゃんが牧さんのお見合い話を断ったこと、百瀬さんから聞いたこと、月菜の言っていた呪いの話。そして昨夜あった事と、今の絶望的な自分の気持ちについても。
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