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「そ、そんなの……どっちもやだ」
ゾッとしながら否定すると、星ちゃんは「だろ?」と一笑した。
「まどかは何でも急ぎすぎるんだよ。〇か×か、二つに一つじゃない。何もしない△っていう方法もある。俺も一度はむっちゃんと絶望的にダメになったけど、今はまた友達として付き合えてるだろ? 物事にはすべて然るべきタイミングがあると思うんだ。陽ちゃんとの縁を大切に思うなら、ちょっとくらい待ってもいいんじゃない? 何かいい変化が起きるかもよ?」
星ちゃんの予言めいた発言には少し希望が持てたけど、また別の新たな不安も募ってくる。
「う、うん……。でもその待ってる間って……辛いよね?」
おずおずとそう言う私に星ちゃんは「そうだな」と肩をすくめた。
「でもそう思うのは、まどかが自分のことしか考えていないからかもね」
「えっ?」
「恋愛は一人じゃできないだろ? まどかは準備万端でいるかもしれないけど、陽ちゃんは違う。いろんな事情があるんだろうし、今は恋愛モードになるのを拒んでいるというか、誰も入ってこないように内側から鍵をかけているって感じかな」
う、うん。
「そういう時に告白しても上手くいかないと思うんだ。だから時間を置いて、陽ちゃんが自分で鍵を開けるか、出て来るのを待ってみたらいいんじゃないか? ってこと」
ううっ……そうなのかな? そうすべきなのかな? あれほど頑なな陽ちゃんの気持ちが変わるなんてありえるのかしら?
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