5.魂を運ぶラザニア

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「ま、まぁ、そんなことはいいじゃない。ほら、おみくじ引こうよ」  ちょうど前の人がはけたので、三人で順番におみくじを引く。さぁ、結果やいかに……? 「あっ、大吉! 『たゆまぬ努力の末に栄光あり』だって!」  おお、美咲ちゃんすごい。来春は宝塚の音楽学校を受験するんだろうから、今年はまさに正念場の一年だもんね。頑張れ! 「私は……中吉だ。『目標を掲げて地道に進め』だって。普通だなぁ」  いやいや、真珠ちゃん。何事も中庸が良いものだよ。今年は三年生になるし、目標=高校受験になるのかな。頑張れ! 「まどかちゃんは?」 「ああ、そうだね。どれどれ……」  真珠ちゃんたちに覗き込まれながらおみくじを開くと……えーっ、凶!? 「あっ……」 「こ、これは……」  ショックで石化する私に、二人がなんとも気まずい表情を見せる。凶って……生まれて初めて引いたんですけど……。 「まどかさん、しっかり! おみくじはただのおみくじです。レクリエーションみたいなものなんですから」 「そうだよ、まどかちゃん。今が悪いってことは、今後は間違いなく上昇していくってことだよ」  中学二年生にフォローされる三十一歳……。い、いや、凶なんてレアだから、ある意味大吉を引くよりすごいことかもしれない。 「ううっ……二人ともありがとう」  気を取り直して内容に目を通してみると、『人生を左右する変化の時。選択を誤らぬように注意せよ』とある。うわぁ、なんだかちょっと怖いような……。
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