5.魂を運ぶラザニア

22/86
前へ
/388ページ
次へ
「ありがとうございます。おじゃまいたします」  片倉さんと初めて会った時も思ったけど、お母さんもすごくフレンドリーで、警戒する必要がないというか、以前に会ったことがあるような気さえする。  ブーツを脱いで片倉さんにコートを預かってもらい、お母さんの案内で突き当りのお部屋に入ると、突然ワッという大きな笑い声が上がってビックリ。 「ああ、盛り上がってますね」  嬉しそうにそう言った片倉さんが、「Hey Guys,I'm back」とにこやかに手を振った。見れば、中央に置かれた応接セットにウィリアムさんとご両親がいて、その白い肌が赤らむほど大笑いしながら、「ハーイ!」と応える。一体どうしたんだろう? と近づいてみて納得。三人は福笑いをしていたらしく、お父さんが拵えたおかめは、ある意味芸術的なくらい流動的なお顔になっていて、私も吹き出してしまった。 「Oh、マドカサン。アケェマステ、オメデトゥゴザイマウス」  笑いがおさまらないウィリアムさんが顔を紅潮させながら挨拶してくれる。私も同じようにご挨拶し、ご両親には片倉さんが紹介してくれた。  暖かいリビングは天井が高くて暖炉もあり、ウィリアムさん家族だけを見ていると、まるでアメリカにいるみたい。  そして、そして! 暖炉前のぬくぬくエリアやウィリアムさん家族の膝の上には、片倉家のニャンコたちが……! 「ふおおおお……!!」
/388ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1079人が本棚に入れています
本棚に追加