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「そ、それで、陽ちゃんは、な、なんと？」
ドキドキする胸を抑えながら問うと、片倉さんは肩をすくめてためらうことなく答えた。
「あなたと付き合っているのかと聞かれたので、今はまだ単なる友達だと答えました。僕は好きだけど、まどかさんがＯＫしてくれないんです、と。そしたら」
「そ、そ、そしたら？」
「僕の気持ちは本気なのかと尋ねられました。もちろんですと即答したら、『それを聞いて安心しました。まどかは妹も同然ですから、もしあなたを選んだ時は幸せにしてあげてください』と仰っていましたよ」
途端、あれほど強く鼓動を打っていた心臓が氷水でも掛けられたみたいに冷たくなる。
陽ちゃんに確かめるまでもなく、本当にそう言ったんだろうと直感した。片倉さんはいつでもまっすぐで正直な人だし、今聞いたセリフは、まさしく陽ちゃんが言いそうなことだもの。
陽ちゃんにとっては妹の幼馴染、昔から良く知っている間柄。それ以上でもそれ以下でもない。そのことも含め、応えてもらえなくてもいいから、傍にいる方を選んだはずなのに……さっきの私は一体なにを期待したのだろう？
愚かな期待と、『やっぱり』という失望感。その事実を陽ちゃんではなく、片倉さんから聞かされたのは余計にショックだった。他の人に私を託すということは、本当に妹のような存在で、自分は関係のない傍観者だと思っている証拠なんじゃないかな……。
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