2.運命のタルト・タタン

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「あ~疲れたぞーっと!」  今日も目一杯働き、ゆっくりお風呂に入ってベッドへ飛び込むと、もうすぐ日付が変わろうとしていた。  目覚まし時計をセットし、何気なくスマホのカレンダーを見ていると、まだ先だと思っていた婚活イベントが明後日に迫っている。 「げっ」  ……まずい。何も準備してない。百瀬さんが「イベントに出るな」とかいろいろ言うから、頭の隅っこの方へ追いやっちゃって、すっかり忘れてたよ。お店ではあれっきり話題になることもなかったし……。  う~ん、どんな格好で行けばいいんだろう? 確かイベントのチラシには『普段着でOK』って書いてあったと思うけど、お父さんの助っ人で参加するとはいえ、本当にジーンズとフランネルシャツってわけにもいかないだろう。やはり他の人は女性らしい可憐な服装だろうから、ちゃんと考えないと悪目立ちしちゃうかも……?  急に不安になった私は、ベッドから飛び起きて勢い良くクローゼットの扉を開けた。すぐ手の届くところには、仕事で着る白シャツと黒いパンツがぶら下がっている。そこだけ見ると色彩ゼロって感じでとっても地味だ。
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