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かれこれ10分くらい経っただろうか。
優希は、まだ泣いていた。
というより、泣くしかなかった。
突きつけられた真実が悲しくて……
何もできない自分が情けなくて……
今まで蓋をしていた感情が止めどなく流れてくる。
広い倉庫にひとりぼっち。
聞こえるのは、すすり泣く自分の声と、カチカチと鳴り響く爆弾の音だけで……
ギギギギ……
そのとき、もうひとつの音が優希の元に届いた。驚いて音のする方に目を向ける。
倉庫の扉が開き、外の光が一気に入ってきていた。そこにあったのは、見覚えのあるシルエットだった。
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