10.冬の手紙……和真

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 あの日から一人になってみて、これまでの涼太とのやりとりを思い出すんだ。  何で俺なんかがいいの? って、俺は繰り返し聞いたと思う。  あんまり聞くから、涼太は鬱陶しかったんじゃないかな。信用されていないって思ったかもしれない。  でもそれは違う、原因は涼太じゃない。俺の方にある。  あれからよく考えたんだ。  俺は質問するばかりで、聞かずにいられない理由を、話していなかった。  そんなの、フェアじゃないよな。    俺は意図的に、言わなかった。この話題に関して、俺は永く閉ざしてきたから、正直、直接面と向かってちゃんと説明できる自信がない。  涼太も俺に言ってない事があるだろ?     ごめん、瑞樹から前に、ちょっとだけ聞いてしまった。涼太が浅野家の実子じゃないって。  そんな事、全然知らなかったから、すごく驚いた。涼太が自分で口に出したことじゃないのに、知ってしまったことに罪悪感がある。  たぶん、涼太は言いたくないから俺に知らせないできたんだろうから。  俺を選んだ理由を、涼太が微妙にはぐらかし続けるのは、そんなふうに、言いたくない事に関係しているんだろう。  涼太はこの先も本当は、話したくないのかもしれない。  でも、二人して秘密を抱えながらこの関係を続けるのは難しい。俺は納得できるまで、きっと聞き続ける。  だからそれを聞くのなら、まず俺から話さなきゃならない。
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