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「どこに行ったんだろうな」
父さんは母さんいなくなったのは、頑なに自分のせいだと思っていた。
実際、警察もどの可能性が一番高いとは断定できなかった。なのに、死んでいるとも、事件だともまるで思っていないみたいだった。しばらくの間、二人でビラを撒いて、周辺から近隣の町まで捜し歩いた。でも、母さんを見付けることはできなかった。
近所の人が俺を見て母さんを思い出す以上に、父さんも俺の顔を見るのが辛そうだった。
俺が目を合わせると目をそらす。でも勉強や本を読んでいると、背中にじっとりと視線を感じた。見張られているような重い視線だった。
俺は父さんが家にいると、緊張するようになった。それまでわからなかったけど、もしかして母さんもそうだったのかもしれない。
たぶん、このままではいけない、と思ったんだろう、父さんはこの町を出ないか、と言った。
「おばあちゃんちに行こう。和真もここは嫌だろう。みんなが知り過ぎてる」
どちらにせよ友達との付き合いも、それまでとは違ってしまっていた。俺は遠巻きにされ、腫れものに触るように扱われていた。引っ越しに異論はなかった。
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