2. 秋の部屋……涼太

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 和真は物静かだけど、独特の存在感がある。  むしろ静かだからこそ、賑やかなクラスの中で、逆に目立つこともある。和真はひっそりしてれば、注目を集めることはないって安心してるみたいだから、俺はあえて教えないけど。  それに和真は大人しくなんかない。  見てないようで周りを見てて、必要な時は言いにくいこともさらっと言う。だから時と場合によってはけっこう活発にもなれるんじゃないかって思ってる。  俺は見てるつもりで見落としが多くて、肝心なことは上手く言えない。つまり真逆だ。同い年なのに大人っぽい、と思う。  いつも俺の隣でうまく話をまとめてくれる和真がいないと、どうも調子が狂う。  休み時間に他の友達としゃべる気にもならない。クラスメイトには俺が柄にもなくぼんやりしてるから、和真がいないと涼太まで駄目じゃん、って呆れられた。  実際、クラスの連中も心配してる。  和真は友達とかそんなにいない、って言うけど、それもけっこう思い違いだ。俺はそれを大義名分にするつもりで、インターホンの前に立つ。   
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