10.冬の手紙……和真

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 俺は羞恥のあまり真っ赤になった。金切り声が耐え難かった。耳を塞ごうとしたら、手首を掴まれて、おばあちゃんに叩かれた。おばあちゃんは掴みかかからんばかりに俺に迫り、赤い痣を見付けるたびに同じ言葉を繰り返した。俺は泣きたくなった。  違う、もう、きっと泣いてたと思う。  この理不尽さに。  体の痛みに。ろくに息もできない生活に。 「俺を自由にしてよ!」  初めておばあちゃんに怒鳴った。  おばあちゃんは一瞬、何がなんだかわからないって顔をした。だから俺は全部を吐き出すしかなかった。 「朝から晩まで俺のことをがんじがらめに縛るのは止めてよ! 俺はもう高校生だよ、幼稚園児じゃあるまいし、どこで何をしようがもう勝手じゃないか。言いたくないことだってあるんだよ!」  涙がこぼれ落ちた。それを拭って、そのままおばあちゃんを部屋の外に追い出して、部屋に鍵をかけた。  ベッドにもぐりこみ、真夏なのに頭から布団をかぶって何も聞こえないようにした。胎児のような恰好のままさんざん泣いて、そのまま眠ってしまった。  翌日、おばあちゃんと顔を合わせないように、部屋から直で玄関を出て、早朝から学校に行った。あっという間に授業が終わり、逡巡していると父さんから連絡が来た。  おばあちゃんは昨日の夜、軽い心臓の発作を起こして、今日、病院で診てもらったら即入院になったって話だった。
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