10.冬の手紙……和真

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 俺のせいに決まっていた。  発作はこれまでもたびたびあった。数分じっとしていれば収まる程度のものだったけど、俺がそれに気づかなかったことなんかなかった。なのに頭から布団をかぶっていた俺は、その気配に気づかなかったのだ。  自分のしでかした事に、目の前が白くちかちかした。  父さんからはおばあちゃんの荷物を病院に届けるように指示があった。年齢的に、入院が長期化するのは避けられないらしい。でも、覚悟を決めて病院に会いに行っても、おばあちゃんはいつも眠ってばかりで、まともな会話はできなかった。  ただし、本当に寝ていたかどうかはわからない。おばあちゃんは、たぶん、俺と話をしたくなかったんだと思う。拒絶されてる気がした。俺がしたのと同じように。  俺はそこからほぼ一人暮らしになった。  ほどなくして涼太が気付いて、たちまち入りびたるようになったけど、それを許せたのは監視の目がなくなったからだ。  あんなに世話になったのに、おばあちゃんのいない家に俺はホッとしていた。  恩知らずなんだ。大事にされていたのに、いきなり姿を消した俺の母親と同じように。  俺は涼太に、何度も聞いたよね。  なぜ俺が運命なんだ、って。  俺のどこを好きなの、って。  恋人同士によくある甘い戯言なんかじゃないんだ。  俺は本当に疑問だったんだ。
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