11.冬の手紙……瑞樹

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  真面目な委員長は、義理堅く約束してくれた。  だから、いつでも俺は安心して涼太のことを聞ける。 「ねえ、持田先輩。涼太、学校でどう? 今頃になって突然、猛勉強はじめたんだけど」 「んー……」 持田先輩の視線が泳いだ。この人は本当に馬鹿正直だ。ろくに嘘もつけない。 「進路指導の先生にきつく言われたみたいだよ」 俺は無邪気に先輩に飛びついた。 「ねえそれほんと? 言ったの、先生じゃなくてもしかして先輩じゃない?!」 案の定、その一言だけで持田先輩はたじろいだ。俺はいつもの笑顔を作る。 「やっぱりそうか。ありがとう先輩、兄ちゃん、勉強しないとやばいって、家中みんなで心配してたんだ。俺がいつも愚痴ってたから、先輩から話してくれたんだ!」 「あ……まあ、なんか和真も困ってたし、言ったら、なんか浅野も意地みたくなって、受かるまでは、もう和真とも話さないって」 「へえ……」  俺は、目の前が開けていくような気分になった。なるほど、これは本当に想像以上だ。 「ありがとう、ほんとよかった」  俺は口元に笑みが浮かびそうになるのをこらえた。でも、持田先輩は俺の様子を観察するほどの余裕はないみたいで、自分の手元ばかりを見ていた。 「別に、和真があのままじゃ気の毒だったし。俺もなんだか腹が立って」  俺は、先輩と涼太との間に、和真を挟んだ諍いがあったことを察した。  状況はともかく俺は、涼太の本気が嬉しかった。  涼太には友人も沢山いたけど、誰も正当な評価を涼太に下していない。でも俺の遠い記憶の中に残っている涼太は、明るくて適当なだけの存在じゃないのだ。
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