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「なあ和真―、プリント持ってきたんだけどいい?」
おずおずと声をかけながら、何気なくドアに手をかけたらあっさり開いた。
「やば」
プリントを置いてそのまま帰ろうかと思ったけど、俺は初めて入った和真の家が気になってそのまましばらく玄関から家の中を眺めた。
壁伝いに本棚がずらりと並んでた。
玄関からすぐのリビングには、脱いだ服やカバンが置きっぱなしになってる。ごちゃごちゃしてたり、あるべき場所にあるはずのものが欠けてるみたいに、ぽっかり空間が空いてたり、どっかアンバランスだ。
ばーちゃんがいたはずだけど、玄関に靴は和真の分しかなかった。
もう一度ぐるりと見回す。玄関にはコンビニの袋が放りだされてて、リビングのソファー越しにクッションに埋もれた和真の肩先が見えた。俺は靴を脱いで、部屋に入った。
「和真?」
ソファーにうずもれるようにして和真は眠っていた。
頬っぺたも耳たぶも熱っぽく赤く染まってる。
俺は屈んで和真の額に手をあてた。びっくりするぐらい熱かった。俺の手が冷たかったのか、和真はぶるっと震えて目を開けた。
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