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13.春の嵐……洸
日付と時間と場所。
この三つの条件を吟味して、俺は塾の近くのコンビニにいる。コンビニ自体には用はない。とはいえ長時間店内をふらつくには限界があるから、コーヒーを頼んでイートインスペースでちまちまとそれをすすりながら、瑞樹が通りかかるのを待っている。
瑞樹の塾の受講日は週に二回。
確か、週の中の夜か週末の夕方だった。それ以外も自主学習で来るけど、テストや気分次第だから不定期であてにならない。
直接塾で待っていてもいいが、俺はもう退塾していたから、今さらあそこで待つのは居心地がよくない。
それに話題が話題だ。
最後に瑞樹に会った日、俺の下駄箱に手紙が入っていた。
裏面を上に置かれた手紙には望月和真と名前があり、俺は途端に訳がわからなくなり、何でこんなところに和真が来たんだ、と心臓が飛び出しそうになるほど焦った。
間が悪く、授業の終わった生徒たちがドヤドヤと階段から降りてきて、舞い上がった俺は手紙をカバンにつっこむと、逃げるように家に帰った。
自分の部屋に閉じこもり、すぐに手紙を取り出した。だが、いざ読もうとして封筒を表に返すと、涼太の名前と住所が乗っていた。
俺はさらに混乱した。
なんで涼太宛の郵便物が俺の、しかも塾の下駄箱に入っていたのか。どう考えても瑞樹しかいない。しかも和真への気持ちを言い当てられた直後だ。瑞樹の真意を測りかねて、俺は何度もひっくり返しながらその手紙を眺めた。
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