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俺はそわそわしながら、コンビニの窓から歩道を見ている。
早くから来て、結構長居したので、店員には不審がられているかもしれない。
そこからまたしばらく目を凝らしていると、思った通り、見覚えのあるコートが通りかかった。コーヒーの紙コップをゴミ箱に突っ込み、俺はすぐにコンビニを出て、瑞樹を呼び止めた。
「……あれ? 持田先輩」
瑞樹は俺を見るなり、面倒くさそうに顔をしかめた。これまでの瑞樹とは全然態度が違っていた。
俺はつかつかと前に出て、手にしていた手紙を瑞樹に突き出した。
「これ、返す」
「いきなり何?」
瑞樹は手紙から目をそらした。少し後じさり、そのまま踵を返そうとする。俺は逃げられないようにその横に体を添わせて、早口で責めた。
「お前しかいないだろ、涼太への手紙を俺の下駄箱に入れてくなんて」
「さあ。俺、塾はじまっちゃうから邪魔しないでよ」
瑞樹は尚も逃げようとして足早になった。
「ちょっとこい」
俺はしらばっくれる瑞樹の腕を掴んで、コンビニ沿いの細い路地に瑞樹を引きずり込んだ。瑞樹は金切り声で騒いだ。
「やめてよ!」
「なんであんな事をした」
俺は怖がってもいないくせに、わざと大声をだした瑞樹にイラついた。だが、瑞樹は生意気に俺を睨み返してくる。
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