13.春の嵐……洸

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見なくても自分の顔色が変わったことがはっきりわかった。 あんまり怒りを感じると、血の気が引いて頭が真っ白になる。俺は思わず瑞樹の頬を力任せに引っぱたいていた。眼鏡がふっとぶ。 「みくびるな!」  バチーン!と空気がひび割れるような音が響いて、俺も瑞樹もその場で凍った。 怒鳴られて、瑞樹はぎりっと唇を噛んだ。 泣く、と思った。だが、俺だって容赦する余裕はなかった。 「浅野もその適当さで人を振り回して最低だったけど、さすがにお前もその弟だな。兄弟して人の気持ちをかき乱して何が楽しいんだ。いい加減にしろ!」 だが、涼太を引き合いにだした途端、泣くはずの瑞樹が急に顔を上げ、正面から俺に向き直った。 「違う! 涼太を悪く言うな!」
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