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俺は瑞樹の首を掴むと、強引に頭を下げさせた。
うっかり余計な口をきかないように、ぐいぐい惜しみなく圧をかけて、俺も同時に頭を下げる。もうやぶれかぶれだ。
「俺は、和真が好きなんだ」
思い切った。こんな勢いでもなければ、一生言わないままだっただろう。
自分の靴の先と、汚れたアスファルトを見つめながら、俺は続けた。
「それをずっと、瑞樹に相談してた。同じ塾に通ってるうちに親しくなって、瑞樹は、俺が片想いでいることに同情してくれて」
和真の気配は感じたけど、反応はなかった。俺は意を決して続けた。
すでに喉が貼りつくほどカラカラだった。嘘はこの上なく苦手だ。
「瑞樹は、手紙を見れば和真のほんとの気持ちがわかるんじゃないかって、いつまでも告白できないでいる俺に見せようしたんだ。でもやっぱり迷って、そのうち返すタイミングを失ってどうしようもなくて、今、俺のところに持ってきた。だから、ごめん、まだそれ、涼太読んでない!」
思い切って顔を上げると、和真は堅く口を結んだまま俺たちを見つめていた。
「お前も謝れ!」
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