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他の誰にも和真といる時間を邪魔されたくなかった。和真が他人に対して閉ざしていることを好都合に、俺はその隣りの位置を不動にしていった。
そうしなきゃ心配でいられなかった。俺は常に危惧していた。
今はいい。
今はまだちょっと顔立ちの整った男の子ってだけだ。和真はいつもうつむきがちだったから、余計に気付かれにくい。でも成長とともにどんどん磨かれて、サナギが蝶になるように、あの美しさを開花させる。それは遠からず来る。
楽しみと不安と、ないまぜになりながら俺は、和真の成長をその隣りで見守ってきた。
この保護欲と、それ以上の恋愛感情を、和真はずっと気付かない。
ほんと、鈍いよな。
俺はいつだって、ありあまるぐらいの気持ちで傍にいた。
もはや彼女はきっかけだった。あの儚げな引力とは違う、和真自身の魅力に惹きつけられていた。
和真はこれからいろんな人と出会う。
当たり前だ。いつまでも進路が一緒ってわけにもいかない。
どんなに誰かと出会っても、和真にとって俺は特別でいたかった。だから誰より先に手をつけて、誰かに気付かれる前に攫ってしまおうと思った。
俺、ずるいんだ、ごめん。でも和真だけは譲れない、どうしても譲れない。
だから、俺は、ずっとずっと探していたんだ。
もし二人きりになれたら、そういう機会が訪れたら和真を抱く。和真の初めてに俺を刻みこんでしまえば、和真の唯一になれる気がした。勿論、乱暴にするつもりじゃなかった。気持ちを話して、そっからちゃんとするつもりだった。
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